海外取引のはじめかたと知っておくべきリスク管理
※提供は法人のみ
代金回収こそが与信管理のゴール
海外取引のプロセス
- 営業・マーケティング活動
- 資料請求・問い合わせ、見積もり依頼
- 取引先の情報収集
- 支払条件の決定・与信限度額の設定・見積もり提出
- 受注・契約締結
- 商品出荷・請求
- 代金回収
1. 営業・マーケティング活動
海外取引(輸出)における一般的なプロセスは、まず 営業・マーケティング活動から始まる。
営業・マーケティング活動をほとんど行わなくても顧客から注文がある企業もあるが、一般的にはよほどの競争優位性がないかぎり、何もしなくても顧客からの注文があるものではない。
したがって、下表のような営業・マーケティング活動を行って、見込客を集めることになる。インターネットが発達した現在では、海外に支社や営業所を設立することなく自社の商品やサービスを世界中で販売できる。
2. 資料請求・問い合わせ・見積り依頼
営業・マーケティング活動の結果、見込客から資料請求や問い合わせがくる。
いわゆる営業マンのセールス活動よりもマーケティング活動による集客が中心の業態では、第一段階が資料請求という場合もある。
あるいは資料請求と見積り依頼が同じという場合もあるだろう。
3. 取引先の情報収集
単なる資料請求や問い合わせであれば、資料を送付したり、質問に応じたりすればよいが、見積依頼となると、支払条件も提示する必要があるため、この段階で取引先の審査をすることになる。
具体的には、インターネットで顧客の情報収集をしたり、信用調査レポートを入手したりすることになる。
4. 支払条件の決定・与信限度額の設定・見積りの提出
収集した情報を評価・分析し、顧客の信用度に応じて支払い条件や与信限度額を決定する。
この決定に基づき、支払条件や与信限度の設定を行い、見積書を提出する。
海外取引の支払い条件や与信限度額はあらかじめ決めていて、顧客別に設定しない日本企業も多いが、リスクが高いので、ぜひ顧客別に設定しておきたい。
5. 受注・契約締結
見積りに伴う条件交渉が成立すれば受注、契約締結となる。基本売買契約を締結し、継続的な取引は注文書と請求書で対応する企業も多い。
なかには基本売買契約を締結せず、単に注文書と請求書だけという取引形態をとっている企業もある。
しかし、海外取引のトラブルを防止する意味で、各条項を精査して契約を締結すべきである。
6. 商品出荷・請求
契約締結が完了すれば、出荷の準備を整えて商品を出荷することになる。
支払条件によっては商品出荷前に支払いがある。
海外取引ではまったくの後払いというのは送金取引ぐらいで、それ以外は商品出荷前にバイヤーから出荷に必要な書類を送ってもらうことになる。
L/C 取引の場合も、L/Cが開設されてから出荷ということになる。
商品を出荷したら、請求書も発行する。商品が到着したら受領書を入手することがトラブルを防止するうえで重要になる。
7. 代金回収
支払条件に従って、代金の回収を行う。支払期日どおりに支払がなければ、督促を行い 、1日でも早く遅延債権の回収を図る。
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