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海外取引での支払方法の選択は、取引を左右することもある重要な条件の一つとなります。代金の支払い方法についてのパターンを理解し、どの方法を用いるかを慎重に検討する必要があります。
今回様々な支払い方法についていくつかの章をまたぎご紹介いたします。
リスクの低い二つの支払条件
海外取引の代表的な支払条件は以下6種類があり、この並び順に債権回収のリスクが高くなる(前払いが最も低リスク)。
- Advance Payment(前払い)
- Confirmed L/C(確認信用状)
- L/C(信用状)
- D/P(支払渡し/支払時書類渡し)
- D/A(引受渡し/引受時書類渡し)
- Open Account(オープンアカウント)
海外の代表的な支払条件
取引の分類 | 支払条件(英文) | 支払条件(訳) |
---|---|---|
送金取引、小切手 | Advance Payment | 前払い |
信用状付荷為替手形取引 | Confirmed L/C | 確認信用状 |
L/C | 信用状 | |
信用状なし荷為替手形取引 | D/P | 支払時書類渡し |
D/A | 引受時書類渡し | |
送金取引、小切手 | Open Account | オープンアカウント |
Advance Payment(前払い)
Advance Payment は、海外取引において最も確実な代金回収方法である。Cash in Advance ともいう 。通常は送金取引であることが多い。
この支払条件を採用している限り、代金回収のリスクはゼロである。
ただし、輸出者にとってリスクがないということは、バイヤーがすべてのリスクを負担するということである。
代金を前払いしたが、商品が届かない、商品の品質が悪い、数最・色が注文と異なるなど、あらゆるリスクを負わなくてはならない。
ゆえに、前払いはバイヤーから敬遠される支払条件だ。いわば、売り手優位の取引方法である。
L/C(信用状)
日本企業の貿易において最も一般的な支払条件が 、L/C = Letter of Credit (信用状)である。
貿易は、L/ Cで行うものと一般的に考えられている。また、海外取引の信用リスクの観点からも、L/Cでの決済はリスクフリーと同義語に語られることが多い。
L/Cとは、銀行が発行する支払いの保証書のことである。正確にいうと、「信用状付の荷為替手形取引」ということになる。
つまり、海外取引の代金支払いを銀行がバイヤーの代わりに保証するものである。
通常、L/Cは輸入地にあるバイヤー側の銀行が発行するが 、なんらかの理由でバイヤーが倒産すれば、L/Cを発行した銀行が代わりに輸出者に対して支払いを行なう。
L/C導入の流れ
手続きは、まずバイヤーが、取引銀行に L/Cの開設を依頼する。
バイヤーの依頼を受けた取引銀行は、取引金額に相当する保証金をバイヤーに預託させる。
その保証金を担保に銀行が取引代金の支払いを輸出者に保証する。
世界的に信頼性のある銀行が支払いを保証すれば、輸出者は安心して取引できるわけだ。
L/Cには開設銀行、通知銀行、バイヤー、輸出者すべての同意がなければL/Cの修正や取消しができないIrrevocable L/C (取消不能信用状) と、バイヤーが一方的に取消しできるRevocable L/C (取消可能信用状)がある。
通常、L/Cといえば、取消しができない Irrevocable L/Cを指す。
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